こんにちは。
係留保管にはいろいろ方法がありますが、今日は槍付け係留の仕組みを紹介します。
槍付け係留、行ってこい係留などと言います。
略図を作成してみました。わかるでしょうか。
図の右のほうから説明していくと、
常設アンカーを効かせます。
そこからアンカーロープの伸ばします。
岸からボートまでの離隔と、ボートの長さを計算し、ちょうど良い位置にブイを設置し、その下に係船環を繋ぎ、アンカーロープに固定します。
その係船環と、岸の係船環の間に係船ロープをループさせます。
係船ロープの片方をボートのクリートに固定します。
これで、ループしたロープのスチロバールに固定された側を引くとボートを岸に寄せることができ、スチロバールを中通ししたロープを引くと沖出しすることができます。
シンプルですが、よく考えられた係留方法ですね。
ボートを沖出しするとき、思わず、行ってこーいと言ってしまいます。
それで、行ってこい係留というわけです。
ところで、常設アンカーとブイの間にアンカーモニターというのが設置されていますね。アンカーモニターとは何ぞやという話ですが、要は錘です。モニターを設置することで、アンカーロープと海底のなす角度を浅くすることができ、より有効に常設アンカーを効かせることができます。また、この図では干満差が2mあります。干潮時、岸に寄り過ぎないよう調整するためにもモニターの設置が有効な場合があります。
モニターがない場合の干満差によるボートの岸への寄り幅をごく単純な例で計算してみます。
条件は下記のとおり。
満潮時水深7m。干潮時水深5m。アンカーからブイまでのアンカーロープの長さ10m。
寄り幅は、 √(10^2-7^2) - √(10^2-5^2) ≒1.5m
干満差でアンカーロープに遊びができます。その分岸に寄ってしまうというわけですね。
寄り幅の変動が少ないほうが船の管理はしやすいです。その意味でもアンカーモニターを設置して、ボートが岸に寄りすぎないよう調整することが有効となる場合が多いです。
以上、槍付け係留とアンカーモニターについての話でした。