Club HM Anchor Monitor

ボートフィッシングに関する情報をお届けします。

今日はタイラバでアマダイを狙ってみよう。あまり高く巻き上げないことと、デッドスローの巻きスピードがキモなのか?

 

はじめに

こんにちは。みなさんアマダイは釣れていますか。筆者はメインで狙うことはあまりありませんが、「高級魚」と言われますし、味も良く釣れるとうれしい魚です。アマダイの中でも「まぼろし」とも言われるシロアマダイが揚がったときには、まぐれだったとしても、それはもう格別の気分です。もし狙って釣れたならなおのこと。そんな、格別の気分を味わうため筆者は時々アマダイポイントを探しに出かけています。

 

アマダイとはどんな魚

一般的にひとまとめにアマダイと言うことが多いと思いますが、アマダイは正確にはアマダイ科のアカアマダイ、シロアマダイ、そしてキアマダイの3種類に分類されます。

 

アカアマダイ

アカアマダイは水深200mまでの砂泥地に生息しています。全長は40cm程度まで。成長は遅いようで、8年で30cmほどになります。こちらの海域では、アマダイの中では最もよく釣れる種です。少し大きめのつぶらな瞳が特徴的。なんとも愛らしい顔つきですね。

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シロアマダイ

シロアマダイは水深30~100mの砂泥地に生息しています。分布は南日本や琉球列島、それから朝鮮半島南シナ海となっています。九州東部のこちらの海域ではなかなかお目にかかることはありません。体色はアカアマダイより白っぽく、尾ひれに黄色い横縞があります。目はアカアマダイより少し小さめで、より眠たそうな顔つきをしています。下の写真はたまたまパッチリとしてしまっていますが、普通はもう少し瞼が閉じかかっているような表情をしています。ほかのアマダイに比べると全長は60cm程度と少し大きく成長します。

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キアマダイ

キアマダイはアマダイの中では最も深い場所に生息しています。生息場所の水深は200~300m程度。シロアマダイと同じく南日本をはじめとする南方系の魚で、筆者の海域では、ほぼお目にかかることはありません。水深も深いので、プレジャーボートで手軽に狙うというわけにもいきません。

 

アマダイの釣り方

餌釣り

アマダイは餌釣り、ルアー釣りで狙うことができます。確実な釣果を求めるなら、アマダイを「釣りもの」とする遊漁船を利用し餌釣りで狙うのが近道です。とりわけオキアミを付けエサとするテンビン吹き流し仕掛けで狙うことができれば好釣果が期待できるでしょう。もちろん手前船頭、プレジャーボートでも楽しめます。

 

ルアー釣り

プレジャーボートで狙うならルアー釣りで狙うのがお勧めです。なんといっても餌釣りにはない「ゲーム性」が醍醐味です。

ルアーは何を使うかというと、「タイラバ」です。タイラバはカブラと呼ばれる、鉛やタングステン性の中通しの錘と、ネクタイ・スカートと呼ばれる疑似餌のようなものを組み合わせて魚を誘う、主に真鯛をターゲットとしたルアーの一種です。もともとタイラバは漁具を起源としています。これを現代風にアレンジし商用化したものがタイラバです。ネクタイ・スカートが水流によってヒラヒラと舞います。これが「波動」を生んで魚のバイトを誘うというものです。

このタイラバを使ってアマダイを狙うことができます。アマダイは底付近に巣穴を作って潜んでいます。採餌のときにはこの巣穴から出てきて餌を追うようですが、真鯛や他の魚ほど中層には浮いてこないようです。したがって真鯛を狙うときのタイラバの操作とは若干異なることになります。

具体的にはタイラバで真鯛を狙うとき、通常は海底から10m前後までをタイラバの移動範囲とすることが多いと思います。水深の浅い場合は状況によってそれ以上に巻き取り、海底から20m、25mと巻いて誘うこともあります。しかし、アマダイ狙いの場合、おそらくそこまで上層に巻き上げてもアマダイが追い上げてくることはまずないと考えられます。アマダイは海底で採餌しているからです。したがって、アマダイをタイラバで狙うときは海底付近を丹念に、「あまり巻き上げを行わずに」狙うことが基本となります。

ここで、ボートが潮流に乗って流れていることを考えてみます。すると、アマダイ狙いの場合、海底付近でタイラバを浮遊させておけば、巻き取りを行わなくてもボートの移動とともに自然に魚の誘いになっていることが想像できます。巻き取りを行う場合でも、素早く巻いてしまうと、すぐにアマダイの採餌層を抜けてしまうため好ましくないでしょう。デッドスローの巻きが基本ということです。

つまり、アマダイ狙いでのタイラバの操作は「海底付近を漂わせる」のが基本の釣り方となります。もっとも、固定観念にとらわれずにいろいろ試してみて、その日の答えを見つけるのが早道であり、それが釣りの楽しみであることは言うまでもありません。自分なりにやってみて答えを見つけていくのが良いでしょう。

 

まとめ

以上、アマダイの種類や生態、プレジャーボートでの釣りでの狙い方などを概観してきました。アマダイは福井県では「若狭グジ」と称してブランド化が図られるなど、最高級食材としても知られています。釣期は晩秋から冬にかけてがベストシーズンとされ、まさに今が旬の魚と言えるでしょう。みなさんも、釣って楽しい、食べておいしい魚、アマダイを釣りのターゲットとして狙ってみてはいかがでしょうか。

 

参考文献

小学館の図鑑●NEO④[新版]魚』(小学館2015) 107頁

梅雨のタイラバ、ジギング釣行

こんにちは。久しぶりの釣行となります。水温は22℃前後。かなり上がってきました。梅雨の合間に、初夏のさわやかさを感じつつ出船しました。沖の方ではイサキの数釣りも盛り上がっているようです。今回は、比較的近場でのタイラバと、いわゆるスーパーライトジギングでの釣行です。海はとても穏やか。湖のようでした。潮の流れも緩やか。こういう時は割と苦戦します。釣れない時間帯と釣れる時間帯がはっきりと分かれる傾向があります。

まずは砂泥地の定番ゲスト。イトヨリダイです。

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お次は本命の真鯛。なかなかの良型でした。

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潮止まり付近。なかなかアタリがなく苦戦していましたが、潮の動き始めるタイミングで青物のナブラが湧きました。メタルジグを投げ込むとなんなくヒット。スーパーライトジギングタックルでしたのでやりとりに苦労しましたが、なんとか上がってきました。ハマチです。ブリと言うにはサイズがいまひとつ足りないかもしれません。

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さらに、タイラバで非常にレアなゲストも来ました。シロアマダイです。幻の高級魚と言っていいでしょう。なかなか狙って釣れる魚ではありません。

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という感じで、梅雨の合間の釣行を楽しんできました。雨の多い季節ですが、風波は穏やか。ベイトが内湾に入り始めるこの時期は、ボートフィッシングに適したシーズンです。

春のタイラバ釣行。荒天の谷間に。

こんにちは。

週末の度に荒天が続き、なかなか釣行の機会に恵まれませんでした。荒天の谷間を狙っての釣行です。真鯛は乗っ込みのシーズンとなり、数、型ともに狙えるのでないかと考え、中深場から浅場でのタイラバ釣行としました。

当日は大潮、干潮、潮どまりから始めます。この時期、大潮の干満差は大きく、満潮位1.7m、干潮位-0.05mと、その差1.75mです。

水温は17℃。徐々に上がってきました。

 

タイラバヘッドはジャッカルのTGビンビン玉スライドヘッド80gを中心に使います。

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タングステンのヘッドの特徴は「重い」、「硬い」です。

 

タングステンの比重(水1ccに対する重量比)は19.3です。一方、鉛は11.4。この差はタイラバヘッドの小径化と沈下スピードの上昇に寄与します。釣果に影響があるかというと、ある気もするし、ない気もします。潮の速い場所や、二枚潮、ドテラ流しで風の影響が大きいときなどは、この比重の高さが有利に働くケースもあり得ます。

硬さは釣りをする上ではあまり関係がないかもしれません。ただ、塗装が剥げやすいような気もします。

ちょっと、工学の話になりますが、物質の引っ張りや圧縮応力とそれに対する歪みの関係を表す比例定数として、ヤング率というのがあります。ヤング率が高ければ高いほど、伸びにくいということになるのですが、タングステンのそれは345GPa(ギガパスカル)、鉛のそれは16.1GPaです。タングステンがいかに伸びにくいか、すなわち、硬いかというのがなんとなくイメージできるのではないでしょうか。ちなみにナイロンのヤング率は1.2GPaほど、その他の金属はまちまちですが~100GPaというものが多いです。ということで、やはりタングステンは硬いということですね。

 

ジャッカルのヘッドに今回合わせたネクタイ、スカートは、メジャークラフトの鯛乃実にしました。

 

 

 

 

水深40mほどのエリアを探っていくと、コココッと軽いアタリ。

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 上がってきたのは小ぶりのイトヨリダイでした。砂泥地では定番のゲストです。

 

 

その後、底潮が効いてくると。ゴゴゴッといいアタリがでました。

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良型、と言っていいでしょう。メスの真鯛でした。

底潮が流れ始めたタイミングでした。底潮の効き具合は、仕掛けのリトリーブ時の引き抵抗の大小でなんとなくわかります。引き抵抗がこれまでより重くなってくると、「来るぞっ」と予感がするものです。もっとも、引き抵抗の変化は絶対的なものではなく、それまでの引き抵抗との比較による相対的なものです。この感覚というのが経験を重ねないとなかなかわかりづらいものです。

 

荒天の谷間に、それも短時間でしたが、春の真鯛に出会え、よい釣行となりました。

さて、明日から大型連休に入ります。読者のみなさんはどのような連休を過ごされる予定でしょうか。筆者は時間と天気に恵まれれば、再び真鯛を狙って繰り出したいと思います。

それでは。

スーパーライトジギング釣行

こんにちは。春の嵐。週末になると天候悪化という状況が続いています。今日はスーパーライトジギングです。水温は15.5℃。湾内のポイントです。嵐の谷間の穏やかな日を狙って出航しました。

中潮の下げ潮でした。水深40メートル前後。
根の周りを攻めてみると。
メジナです。クチブトですね。メタルジグに反応するとは珍しい。f:id:atum8106:20210325124552j:plain

根の点在する砂泥地にポイントを変えました。すると。小型の真鯛でした。水温の低下するこの時期、良型真鯛は沖の深場に落ちるとされています。f:id:atum8106:20210325124813j:plain

根を外れると。小さいですがアマダイでした。なかなか釣れない嬉しいゲストですね。f:id:atum8106:20210325125026j:plain

潮止まり、表層にベイトのボイルが確認されました。そっと近づいてメタルジグを泳がせます。すると。ハマチでした。体高が高く立派な1尾ですね。
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最後はタイラバも試してみました。
マハタです。こちらも嬉しいゲストですね。
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さて、ノッコミ真鯛のタイラバシーズンもそろそろというところでしょうか。近々釣果報告できたらいいなと思っています。

窓フィルム(低反射シート)をスクレーパーとフィルム剥がしスプレーを使って剥がす。

こんにちは。以前、夜間航行時のフロントガラスへの室内の明かりの映り込みを抑え、夜間航行をより快適にするために、低反射シートを貼るというのを記事にしました。フロントガラスの内側と外側の一部分にそれぞれ低反射シートを貼り付けました。これにより、夜間航行時のフロントガラスへの明かりの映り込みが抑えられ、快適な夜間航行の実現に一定の効果はあったものと思います。

www.dainihamamaru-saiki-oita.com

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しかしながら、あれから約1年半。残念ながら、窓の内側に張ったそれはそうでもないのですが、窓の外側に張った低反射シートは、屋外環境に置かれているということもあり、潮風や雨、太陽光、とりわけ紫外線に直接晒されることから、劣化の進行が著しく、くすみを生じ、日中航行時の視界不良を招いている状況です。

 

下の写真のように、低反射シートの劣化が進行し、視界不良となっていることが確認できます。

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そこで、せっかく張った低反射シートですが、今回、剥がします。

低反射シートには粘着性があり、窓ガラスと強固に密着していることから、素手で剥がすことは困難です。剥がすにあたって次のようなものを準備しました。

①スクレーパー(刃物状のもの)

②中性洗剤用液(5%程度に希釈したもの)

③フィルム剥がしスプレー

 

①のスクレーパーです。先端はカッターナイフのような刃になっています。よく切れます。これを低反射シートと窓ガラスの間に滑り込ませて、こそげ取るように剥がしていきます。

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②の中性洗剤用液です。霧吹きに入れます。スクレーパーで剥がす際に低反射シートと窓ガラスの間に吹き付けると、剥がすのが少し容易になります。

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③のフィルム剥がしスプレーです。これは②と同様の用途に使うほか、シートを剥がした後に残った接着剤を取り除く際にも使います。

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これらを駆使して剥がします。スクレーパーの刃はとても鋭利ですので、怪我をしないように注意します。

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スプレーを吹きかけつつ剥がします。

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低反射シートは剥がし終えました。低反射シートの接着材(糊のようなもの)が窓ガラスに残っていますので、これを先ほどのフィルム剥がしスプレーを吹きかけながら除去していきます。

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完成。キレイに剥がすことができました。

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いかがでしたでしょうか。今回は窓フィルム(低反射シート)を身近にある工具を用いて剥がす作業を紹介しました。低反射シートはこれまで夜間航行時の明かりの映り込み防止に寄与してきましたが、ポリエステルなどの高分子化合物で構成されるこれらの樹脂製シートはどうしても屋外環境においては紫外線による劣化を避けられません。定期的に交換するか、あえて貼らないとう選択になると思います。あるいは、対候性のある低反射シートがあれば、それを貼るなど検討の余地はあるかもしれません。

頬を刺す風、ティップラン

気づけば刺すような寒さ。ここ1、2週間の気温の低下には瞠目する。年の瀬の近づきも感じつつ久々にティップランエギングである。水温は19℃。大潮の潮周り。干潮時刻がちょうど12時。午後、上げ潮へ転流の頃合いで出船する。やや、吹いている。北東の風は冬らしさを物語る。頬に堪えるが、この釣りは「やや吹いている」くらいがちょうどよい、とされる。なぜなら、「ドテラ」に流すことで目ぼしい瀬を広範囲に隈なく探れるからだ。風と一体となることがこの釣りのキモと言っても過言ではないだろう。風と一体となる。この感覚が人の本能を呼び起こす。人々は斯くして大海原に獲物を追い求めていたことであろう。

 

タックルは写真のとおりである。この写真を見て、お詳しい読者のみなさんはなにかお気づきになるのではないだろうか。

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 そう。ティップランエギングの専用タックルではないのである。ロッドは一つテンヤ真鯛の竿を流用した。いつも、こうしている。理由は二つある。一つは技術上の理由である。一つテンヤの竿はティップランのそれに比べれば少し長いのであるが、竿の調子、すなわち硬さはティップランエギングに馴染む。したがって、一つテンヤロッドはティップランエギングへの流用に十分耐えうるものである。もう一つは、筆者の性格上の理由とでも表現したらよいだろうか。最初の理由に通ずるところがあるのであるが、一つテンヤロッドで十分流用が可能なのであるから、ティップランエギングロッドを揃えるというところまで気分が高まらないのである。生来、「もったいない症候群」なのかもしれない。しかし、よく考えてみると、それも違う気がする。なぜなら筆者は趣味として魚を釣るために船を買ったのだ。これは一つの観点、すなわち釣りは手軽に楽しむ趣味であるという点からは、正気の沙汰とは言い難い、とも言えそうである。ティップランエギングロッドを買うのはもったいなく感じ、ボートを買うのはもったいなくない。これはどういう感情からの帰結か。自分でも不思議である。あるいは別腹とかそういった類の感覚なのか。

リールは年季の入ったシマノステラである。2010年モデルである。番手は2500番。現役だ。初めて買ったステラである。いわゆるヌルヌルとした巻き心地は健在だ。今でも最新機種のツインパワーに勝る巻き心地である、と思う。愛着もあり、大事に使っている。

本線はPE0.8号。潮への馴染みもよく、強度も申し分ない。メインラインの王道である。

 

思いのほか荒天に転じ短時間の釣行となった。

あいにく釣果には恵まれなかった。

風と一体になる喜びを再認識しつつ次回釣行への夢を膨らませる。

カヤックのそばを通るときは徐行?カヤックは船舶に該当?海上衝突予防法とプレジャーボートのマナー。

こんにちは。今日は船舶の通航の安全についてです。

 

船舶交通の安全を図るため、1972年国債海上衝突予防規則(条約)に則り、船舶の遵守すべき航法、表示する灯火、形象物、信号などに関して必要事項を定めた海上衝突予防法が制定されました。海上衝突予防法は一般法であり、特別法として、港内の航行の安全と港内の整頓に関することを定めた港則法、特定(輻輳)海域での交通の安全について定めた海上交通安全法があります。また、各自治体によって、プレジャーボート等による水域の適正利用やその航行に伴う危険防止を図ることを目的とした条例などが定められています。

 

近年、シーカヤックなど手漕ぎボートによる釣りが、比較的手軽に楽しめること、プレジャーボートに比べ経済性で有利なこと、許可が得られれば好きな場所で船出しできること、プレジャーボートよりさらに大自然と一体感を味わえること等々を理由に大変人気を集めています。

 

手軽な反面、艇体は小さく、波浪の影響を受けやすいため、操船にはそれなりの経験と熟練が必要な船ということもできます。

 

プレジャーボートなど、動力船が付近を通過すると、引き波の影響をもろに受け、大変危険です。

参考動画です。


【本当にあった怖い話】これからカヤックフィッシングを始める人は必ず見て下さい。引き波で死ぬかと思いました。

 

投稿者がシーカヤックによる釣りをしていたところ、動力船がシーカヤックの真横を高い速力で通過し、その引き波によって大変怖い思いをしたという内容の動画になっています。

 

ここで、当該動力船に航行上の問題はなかったのか、あるいは、シーカヤックがその場で釣りをしていたことに問題はなかったのか、悪いのはどっちか、と疑問が湧いてきます。

 

当該シーカヤックと当該動力船の航法はどのように考えればよいでしょうか。

 

まず、法律上シーカヤックが船舶に該当するか調べてみました。

 

海上衝突予防法第3条1項に船舶の定義について次のように定められています。

第3条第1項 この法律において「船舶」とは、水上輸送の用に供する船舟類(水上航空機を含む。)をいう。

なるほど。同項の規定によって、シーカヤック海上衝突予防法上は船舶と定義されていることが確認できました。

 

港則法には次のとおり記述されています。

第3条第1項 この法律において「汽艇等」とは、汽艇(総トン数二十トン未満の汽船をいう。)、はしけ及び端舟その他ろかいのみをもつて運転し、又は主としてろかいをもつて運転する船舶をいう。

ろかい船がまさに手漕ぎボートのことであり、港則法では、シーカヤックは汽艇等に該当することがわかります。

 

海上交通安全法では次のとおりとなっています。

第2条第2項第1号 船舶 水上輸送の用に供する船舟類をいう。

海上交通安全法でもシーカヤックは船舶に該当することがわかります。

 

シーカヤック海上交通に関する法律において船舶と定義されているということがわかったところで、次は、プレジャーボートとシーカヤックがすれ違ったり、互いに追い越したり追い越されたりする場合の航行ルールについて考えていきましょう。

 

 

 海上衝突予防法では、互いに船舶の視野の内にある船舶の航法について次の項目ごとに定められています。

 

帆船と帆船の航法

 

追い越し船の航法

 

2隻の動力船が行き会い船の関係となる場合の航法

 

2隻の動力船が横切り船の関係となる場合の航法

 

シーカヤックは船舶には該当しますが、帆船でも動力船でもありません。したがって、プレジャーボートとシーカヤックが互いに付近を航行するときに明確な優先関係は定められていないというのが結論となります。

 

一方、同法第5条には「見張り」に関して次のような規定があります。

「船舶は、周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により、常時適切な見張りをしなければならない。」

船舶にはプレジャーボートもシーカヤックも含まれると解されますので、お互い見張りは怠らないようにという規定となっています。
 

ということで、我々プレジャーボートで航行する人は、見張りを怠らないことはもちろん、カヤックの近くを航行する際は引き波を立てないよう細心の注意をする必要があります。他方、カヤック乗りの人は付近の見張りを怠らないようにし、プレジャーボートなどの航行海域となっている場合は引き波などに十分注意して航行しなければなりません。

 

特に水上は水域の利用区分が明確になっていないことが多いため、様々な人がその水域を利用することになります。

 

みんなの海です。お互いに譲り合って安全に航行しましょう。というのが結論となりそうです。

 

それでは。

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